設計と工事監理の必要性

大規模修繕工事を円滑に行うために

建築士による重要事項説明 -安心-

建築に関する法律的な基準には「建設業法※1」「建築士法※2」「建築基準法※3」などがあり、マンションについても建築基準法により『大規模な修繕や模様替え・増築』などの場合は建築確認申請が必要であり、建築士による工事監理者も定められ責任を架せられています。
しかしながら、一般的なマンションの大規模修繕工事については、機能回復の修繕であることが多く、駐車場や設備の増設などを除けば、建築基準法で規定された「確認申請」が必要ありません。
つまり大がかりな工事であるにもかかわらず、無資格者でも設計・工事監理が可能ということです。
そういった建築士法等の法律に縛られない無資格者により設計や工事監理が行われることを防ぐために、建築士法では、平成20年の改正により、『建築士事務所が設計又は工事監理の受託契約を締結する場合には、契約前に必ず管理建築士またはその建築士事務所に所属する建築士が、建築士を証明する書面の提示と共に、契約内容に係わる法令事項を含む所定の内容(重要事項)について契約主に説明し、内容を書面にて交付捺印すること』が建築士事務所の開設者に対して義務付けられました。(建築士法第24条の7)
これにより契約主は契約前に有資格者による業務の遂行であることが目に見えて判断できるようになりました。
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※1.建設業法:建設業を営もうとする者は建設業法第3条の規定により、すべて許可が必要となっています。新築工事と異なり面積での制限ではなく工事金額で、(工種は問わない)有資格者を必要とされます。

※2.建築士法:建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定める法律です。建築物の用途、構造、規模等に応じて、一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければ設計又は工事監理を行ってはならない(業務独占)としています。

※3.建築基準法:建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定める法律です。建築士法において業務独占とされる建築物の工事監理について、「建築主は一定規模以上の建築物の工事はそれぞれ該当する建築士である工事監理者を定めなければならない」と定め、これに違反する工事を禁止するなど、工事監理の実効性を担保しています。

専門家の知識と経験 -技術-

マンションの大規模修繕工事の設計は建築基準法上の大規模修繕工事ではないので、建築基準法や建築士法の規制を受けることはなく、管理組合内で対応することも可能です。
しかし設計業務はおおまかにあげても、
竣工図調査→積算・数量表作成→現地調査(劣化状況の把握)→工事範囲検討→特記仕様書作成→工事単価調査→概算工事費算出→工事予算との照合→予算策定
など多数のプロセスがあります。
特に特記仕様書の作成や工事単価の調査には改修設計の専門的な知識と経験が必要とされます。

住みながらの工事であること -サポート-

マンションの大規模修繕工事の最大の特徴は人が住みながら行う工事ということです。
そのため施工者側の現場代理人(監督)は本来の品質管理業務に加えて居住者対策が必須業務となり多忙を極めます。
改修専門の工事監理者への業務を委託することで、建築士による技術的なサポートや、住民対策のノウハウを持つ専門家の支援を受けることは管理組合にとって工事を円滑に完了させる鍵ともいえます。

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